帝国ホテル中央玄関
かの時に言ひそびれたる
大切の言葉は今も
胸にのこれど
啄木『一握の砂 -忘れがたき人人-』
秋晴れ。久しぶりに啄木を読んでいたら、急に外に出たくなった。
自宅から歩いて秋の遠足「明治村」。昼過ぎのこと。
そういえば、啄木が母・妻子とともに初めて東京で家族生活をしたという家が移築されている。「本郷喜之床」(理髪店)の2階2間が一家の生活の場となった。
でもこの日はあまり寄り道はしないで、お気に入りの建物だけを見る。
北口(SL東京駅)から入場。まずは「帝国ホテル中央玄関」へ。
(写真は拡大可)
「光の籠柱」と形容されているらしい。ほぼ灯籠。
「意匠」にいざなわれた光と影が、さらに他の意匠を弄ぶ。
たとえば夜、月の光はこの場所をどんな色合いに染めるのだろうか。
絨毯に差し込む光。
庇の意匠は今回はじめて見た。
外へ出てからも、光の籠柱が気になって何度も振り返る。
或る懐かしさが急に込み上げてきて、どうしても去りがたい。
大切なひとと待ち合わせをしたことがある場所のように・・・
喫茶室で時間を忘れてしまった。
慌てて教会へ向かうことにした。
参考:『博物館明治村ガイドブック』平成30年3月
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