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2019年12月 3日 (火)

鯖と雁(壱)

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           瑞泉寺より(これは鴨の仲間か川鵜か?) 1/12/2019
            

日前、鯖を二枚におろして焼いた。千葉銚子沖の産。秋鯖か寒鯖か、とにかく旬には違いないだろう。焼き鯖を食べるのはほんとうに久しぶりのことだ。焼くつもりで二枚の身を手にしながら、一瞬頭の片隅に味噌煮の姿が浮かんだけれど、手間のかかることは止め、包丁をまな板に置いた。
焼いているあいだ、鯖が大の好物だった父、青魚をあまり受けつけなかった母のことを思い起こし、やがて連想は当然のように鴎外の小説『雁』にまで行き及び、物語の鍵となる「青魚の未醤煮」(さばのみそに)、不忍池(小西湖)で仕留められた一羽の「雁」のことを考え始めていた。小説の後半はちょうど今頃の季節のことだったにちがいない。
小説は映画化もされ、1953年の作品は高峰秀子が「お玉」役で、映画館のリバイバル上映かテレビだったのかは忘れたが、中学生のころに見た覚えがある。この小説を知るきっかけは映画が先で、文庫本の『雁』を読んだのは高校生になってからだった。

夕飯後、書棚から文庫を取り出して『雁』を開いた。(弐へ)

 

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