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2020年11月

2020年11月28日 (土)

ぐい呑み

薔薇挿せども空瓶になほ洋酒の香  桂 信子
                  
実家の整理をしていて今だに手が
付けられないものは、茶器・茶碗、母愛用のぐい呑み・グラスなどの酒器。
茶碗やぐい呑みは、ほとんどが地元の織部や志野といった美濃焼ばかりだが、なかには旅先で手に入れたらしいのも幾つかある。

父はまったくの下戸、というよりも酒嫌いのひとであった。それは軍隊(抑留)時代のエピソード(元上官の手記→★「父のクリスマス」
)でもわかるし、戦後の仕事も緊急時は夜勤があたりまえだったから常に酒を遠ざけていた。そもそもひとの「酔態」というものを嫌っていたのは、ひょっとすると実直な職人の家で育ったことによるのかもしれない。

母はというと、そんな父を横目に酒を愉しんでいた。そういえばそうだったと気付いたのは、先日今年初めて紅茶に一滴入れたときのことだから、例の「プルースト効果」だったにちがいない。
シンク下の扉奥には、醤油瓶などで隠すようにして赤玉、日本酒や毎年つくる梅酒、何やら正体不明の果実酒
などがいつも鎮座していたし、時折母ひとり晩酌していたのも、小さい頃からあたりまえの風景だった。ただし酒にことさら執着していたというふうでもなかった(もちろん「昼の母」というのは謎だが)。

酒の粋な嗜み方を心得ていたのは、やはり百姓禰宜だった祖父譲りであったやもしれない。
だが還暦を過ぎてからすこし体調を崩すと、母は何の未練も残すことなくアルコールを断ち、酒器の類いは居間のサイドボードで眠ることになった。

※冒頭句のほかに、桂 信子の「昼の酒」2句

昼の酒はなびら遠く樹を巻ける

葉牡丹や女ばかりの昼の酒

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   たぶん伊賀焼、冷えた『魚沼』を酌んでみた。
      

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2020年11月22日 (日)

♪クリスマス・イブ

去年の暮れに名古屋駅近くで会食があったとき、或る友人からおもしろい記事(→★)があると聞いていたが、まったく忘れていたので、昨日読んでみた(そういえばあれ以来一度も名古屋へ行っていない!)。

1989年のCMのこと。もともとこの一連のCMの多くは、名古屋駅が主な撮影場所として使われていて、なかでも牧瀬里穂のCMは当時から名古屋駅構内が舞台とわかるものだったが、そのことも含め記事ではいくつかの謎解きを交えながらあの頃の世相などを振り返っている。
読みながら30年前の自分のことも思い出してみたのだが、それよりもその畳み掛けるような熱い筆者の語り口が、或る懐かしさのようなものを呼び起こす。たった1年前に書かれたものなのに。

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2020年11月10日 (火)

DIY

晩秋のいまだなじめぬ新居かな 森田たえ

仮住まいから引っ越して2週間あまり。
当面必要な物があちらこちらに散在したままで、捜し物を求めて右往左往の毎日。それに古い家具は大半を処分したから、買い換えもあってまだまだ先は長い。

さしあたり自分の部屋だけでも整えようと、まずは敷物をどうするかで悩んだ末、タイルカーペット(50㎝角、2色)で床全面を覆うことにした。壁の凹凸や見切り部などに合わせて処理するものが何枚もあり、最初はカッターを使っていたが具合がよろしくない。そこで「裁ち鋏」も併用したら作業が一気に加速。直線部を処理するときは、なるべく繊維部を切らないようにすると美しく仕上がるようだ。そうしたコツがようやくつかめたと思ったときには、作業はもうすでに終わり近くになっていた。

写真:モノクロ。
   カーペットは濃淡2色のbeige。壁紙やクローゼット扉は白系。
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