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2021年2月 8日 (月)

Danny Boy

先月のこと。
1月23日は父の誕生日。しかも不思議なことに復員完結の日でもあった。
そんなことを思いながら、Keith Jarrettの Danny Boy を寝る前に聴いていたとき、むかし父が Harry Belafonte の歌声に耳を傾けていた後ろ姿が瞼に浮かんできた。

たしか僕が中学校の終わりに近いころのことだったと思う。夏のある日、数枚のレコードを父が家に持って帰ってきた。たぶん職場の友人に借りたのだろうが、その中に Harry Belafonte の SP や LP もあり、Danny Boy や Banana Boat などのよく知られた曲が収められていた。
とくに Banana Boat は、以前から日本でも何人かの歌手が歌っていたし、CMにも使われていたので、そんなこともあって借りてきたのだろうと思っていた。ところが、父はそれよりも彼の歌う Danny Boy を繰り返し何度も聴き入っていた。

年代からして父はほとんど洋楽に興味をもっていないと思い込んでいたから、ずいぶん奇妙な感じがして、今もその記憶が強く残っている。ただこの曲はかなり昔から学校でも取り上げられていたというから、父もその調べはよく知っていたにちがいない。
古くからあるアイルランド民謡につけられた歌詞は、リンゴの花や恋を題材にしたものなど幾つもあるらしい。そのなかで今最も広く歌われている Danny Boy は、今から100年余り前の第一次世界大戦前夜のころに成った。出征した息子への親の心情が綴られていると広く解釈されている。たとえば下の GENTRI の MV(PV)もそうした時代背景をふまえているようにみえる。

でも自分としては、あまり歌詞そのものにこだわりたくない。
むしろこの旋律だけで、伝わってくるものがある。
あのとき父はなぜこの曲に耳を傾けていたか問いかけてみたいが、もう叶わない。
その哀しみを、この曲の美しい調べはいつも優しく慰めてくれる。

★1 GENTRI →★ 

★2 Celtic Woman  →★
★3 Harry Belafonte   →★
★4 Keith Jarrett  →★
★5 Bill Evans →★

 

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