『綿の国星』
しげしげと子猫にながめられにける 日野草城
何年か前、久しぶりに或る友人の家に寄ったとき、本棚の片隅に大島弓子の本がきれいに並べられていた。彼は学生時代から少女漫画雑誌をよく買っていたし自分も何回か借りたことがあったので、懐かしい想い出話に花が咲いた。
『綿の国星』が雑誌に連載されはじめたのは1970年代の終わり頃で、ずいぶん話題になったことは知っていたが、当時は読んでいなかった。
彼が本棚から取り出し渡してくれた第1巻をパラパラ繰っていると、そのなかの「ミルクパン・ミルククラウン」や「カーニバルナイト」について彼が語りはじめた。何やらとても難しい話になってきたなあと思ったので、また今度ゆっくり読んでみるよということにしたのだった。
ところが母の三周忌が過ぎた最近になって、あのときの友人の話や『綿の国星』のことがなぜかまた気になりはじめている。
母の日ひとり珈琲にミルク咲き 岡本眸