山頂にて
まだ夏はつづく。
一昨日叔父の家で用事を済ませ、帰途ふらりと岐阜公園に立ち寄った。高いところなら少しは涼しいかもと、ロープウェイに乗り一気に金華山頂上へ。午後に入ったためか、ひとは少なかった。
城へは行かず、展望台でタイムラプス撮影をしながら濃尾平野を眺めた。
片陰に入れば風が涼しく、その風に乗ってツバメたちが麓から舞い上がってくる。夏にしてはやや湿度が低かったのか、視界はかなり開け空も青く澄んでいて、運良く伊吹山の頂も見える。
下界にはむかし暮らしたことのある街並みや通った学校があり、懐かしい場所を探すのは楽しかった。けれども、岐阜を離れてもう40年近くの月日が流れている。橋や長良川の姿以外は、やはり大きく変わってしまった。
90歳の叔父がついさっき語ってくれた。
76年前の岐阜空襲の時、炎と熱を逃れるために自分を含め多くのひとが長良川へ逃げて行ったんだ、と。
そんな話を思い出していると、あの日伊吹山の方角から飛んできたというB29の爆音が、かすかに聞こえたような気がしたのである。
1時間ほど経った。
さすがに強烈な日差しが辛くなり腰を上げた。
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