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2022年3月 2日 (水)

浅草田圃酉の町詣(2)

(承前)
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*「復刻版」を手に入れ、触れてみてはじめてわかったこと。

彫りの技法について。
どの解説書を見ても、白猫の部分には「きめ出し」という摺りの技法が使われていると書かれている。持っている復刻版も忠実にそれを再現しており、猫を指でなぞると確かに体(猫背など)に膨らみがある。
さらに他の箇所はどうなのだろうと思い、絵全体をなぞってみると、実は猫と同じように表面が僅かに膨らんでいる箇所が幾つもある。
浮き出ているのは白の部分、たとえば障子の紙、腰紙のふくら雀、手拭い(白い部分)、そして屏風にほとんど隠されている御事紙(枕紙)、四本の熊手簪(かんざし)の白い包みである。少なくとも絵の白い部分(色の無い部分)がほとんど表に浮き出ているのである。たぶん色付けをしない部分の彫りが他よりやや深いために凹凸が出ているのだと思うが、版画の工程上しぜんにそうなるものなのか意図してそうしたものなのか、もちろん素人の自分にはわからない。

さらに「雲母摺り(きらずり)」のことである。これなどはたぶん実物を見なければわからないことだろうと思う。窓下の「ふくら雀」が描かれている紺色の腰紙部分が所々光って見えるが、それはたいていの
解説書に書いてある。しかしこの復刻版では、さらに左側にある屏風の裏紙(鳥襷文様?)にも部分的に雲母摺りがしてあった。他にも、空の色の濃淡などは「一文字ぼかし」で表現している。

次回は、この絵について昔から抱いていた疑問について記す。

(次回に続く)

*錦絵の出典は前回の記事と同じ。
 絵の下半分程度を切りとっている
国立国会図書館「錦絵でたのしむ江戸の名所」 

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