水上特攻部隊の編成➂
連絡艇隊の存在を公的記録として確認できるのは、以下の命令文である。
○「アジ歴」 C14110715600 の中の「岡方作命甲第127號・第128號」
なお、『戦史叢書』(南西方面陸軍作戦マレー・蘭印の防衛)の345-346頁には、「連絡艇の整備、運用」という一節に、連絡艇配備に関する上記命令文の一部が掲載されている。
◎軍事機密 岡方作命甲第百二十六號 第七方面軍命令 三月七日昭南
一、第二十五軍司令官ハ連絡艇第二中隊ヲ其ノ編成完結後速カニ
「アルア」諸島方面ニ派遣シ第二十九軍司令官ノ指揮下ニ入ラシ
ムベシ(中略)
二、第二十九軍司令官ハ連絡艇第一、第三中隊及前項部隊ヲ併セ
指揮シ中部馬来半島西岸及南部「マラッカ」海峡ニ於ケル海上
防衛ヲ強化スベシ
三、第二十五軍司令官及第三船舶輸送隊長ハ前項ノ作戦準備ニ密
ニ協力スベシ(以下略)
◎岡方作命甲第百二十六號ニ基ク参謀長指示 三月七日昭南
一、第二十九軍司令官ハ連絡艇隊ヲ左ニ準據シテ運用スルモノトス
1、運用ノ大綱
主トシテ敵輸送船團ヲ奇襲爆碎シテ敵ノ中部馬来半島西岸
ニ對スル上陸企圖及「マラッカ」海峡ヲ昭南方面ニ向フ侵攻
企圖ヲ撃碎ス
2、基本配置
連絡艇第一中隊「アロルスター」附近沿岸要地
連絡艇第二中隊「ポートセッテンハム」及「アルア」諸島
附近ヲ含ム要地
連絡艇第三中隊「ポートディクソン」附近沿岸要地
3、機動準備
前項ノ配置ヲ根據地とし槪ネ二夜機動ヲ標準トシテ夜間機動
ヲ實施シ得ル如ク準備ス(中略)
4、戦闘要領
イ、攻撃目標ハ主トシテ停止セル輸送船トシ「マラッカ」海峡
封鎖ノ為ニハ航行スル各種艦船ヲモ選定スルコトアリ
ロ、攻撃ノ時機ハ夜間トシ上陸ヲ企圖スル敵ニ對シテハ勉メ
テ其ノ上陸開始前ニ選定ス
ハ、攻撃ニ方リテハ奇襲ニ徹底シ勉メテ少數逐次ノ戦闘ヲ避
ケ少クモ中隊主力ヲ集結使用シテ敵主力船團ヲ攻撃シ
一擧ニ潰滅的打撃ヲ與フル如ク勉ム
但シ「マラッカ」海峡ニ於テハ一部ヲ以テ長期ニ亙り遊撃
的戰闘ヲ續行シ得ル如ク準備ス
ニ、攻撃終レルモノハ勉メテ収容シ再度ノ戦闘ヲ準備セシム
(以下略)
この文書では、連絡艇関係の作戦を秘匿名称「櫻作戦」と名付けている。
また、部隊の存在、基地設営や教育も極秘のうちに行うこととしている。教育関連の実施要項や配備の日程等の詳細もこの文書で見ることができるが、すべて省略する。
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