HMHS Oxfordshire
父が帰還時に乗船したのは、イギリスの病院船であった。
オックスフォードシャー号(HMHS Oxfordshire)。この帰還船のことは幼い頃から聞かされていたが、どのような船なのか全く想像できなかった。父の回想記を編集するなかで、初めてその姿を動画や写真で確認し、父の記憶を共にすることが出来た。
この船は約1万㌧で、すでに第一次世界大戦時から活躍しており、戦病者だけでなく、移民の護送などにも使われていた。最後はカラチの船会社に籍を移し、巡礼者を運んだりもしたという。船歴を見ると、この船が20世紀の戦争や紛争とともに世界の海を駆け巡っていたことがわかる。
参照:http://www.roll-of-honour.com/Ships/HMHSOxfordshire.html
1912年リバプールで竣工。
第一次大戦中は病院船として就航。
ダーダネルス海峡で、トルコから撤退するANZACの兵士を救出。
ペルシア湾や東アフリカ方面でも活動。約5万人を搬送。
第二次大戦開始とともに、1939年、再度病院船として就航。
1942年 地中海、アドリア海方面。
1944年 東部ニューギニア、フィリピン、オーストラリア方面。
1945年 沖縄方面(米軍援護)。
日本降伏後も病院船として香港、シンガポール方面。
日本への帰還船。中東方面。
1949年 オーストラリア移民搬送。
1951年 兵役解除、カラチの船会社に移籍。
ジェッダ(サウジ)とカラチの間で巡礼者等を運ぶ。
1958年 カラチで廃船
父が帰還したのは広島の「宇品引揚援護局」である。当時の記録によれば、オックスフォードシャー号は1947年に3回宇品に寄港している。いずれもシンガポールとの往復であったと思われる。その第1回目が父の帰還にともなうものだった。
なお、オックスフォードシャー号は、動画、写真で今も見ることができる。
動画サイトBritish Pathé
http://www.britishpathe.com/video/hms-oxfordshire(1943年)
下の写真はIWMからのもの。.© IWM (FL 17221)
http://media.iwm.org.uk/iwm/mediaLib//19/media-19704/large.jpg
This is photograph FL 17221 from the collections of the Imperial War Museums.
File:Hmhs Oxfordshire FL17221.jpgHmhs Oxfordshire At a quay.
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