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2024年5月 5日 (日)

月もたのまじ息吹やま

おりおりに伊吹をみては冬ごもり 芭蕉  [後乃旅集 如行撰]

そのままよ月もたのまじ息吹やま 芭蕉  [   同上   ]


この冬は西国三十三所巡りをする機会が多かった。
1月末に姫路市の二十七番書寫山圓教寺と加西市の二十六番法華山一乗寺へ行ったときは、新幹線で姫路まで行き、そこからレンタカーを使うことにした。日帰り。

朝5時台のまだ暗いなか始発電車に乗って名古屋駅へ。
下り名古屋始発は6時20分のぞみ271号だが、今回は姫路行きなのでこれも名古屋始発の6時36分ひかり351号を使う。座席は進行方向右。夜明け前の澄み切った空が広がっていた。

木曽川を渡るころ、車窓から少し後方を眺めると夜明け前の御嶽山の偉容があった。岐阜羽島駅を出て長良川を渡り、やがて揖斐川にさしかかると御嶽山と金華山・岐阜城がほんの一瞬だが並び立つ。
撮ったときはわからなかったが、よく見ると岐阜県庁、右端に墨俣一夜城(資料館)の姿もある。
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垂井町あたりでもなお御嶽山の姿は車窓にある。さすが三千㍍級。
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名古屋を出れば伊吹山が見えるはずなのだが、進行方向右側の座席からは時々しか視野に入ってこない。
やがて関ヶ原の山間を過ぎ北方向の視界が開けてくると、突然雪景色が広がり、迫力ある伊吹山の山容が車窓に広がってくる。山頂付近は朝日で次第に赤みを帯び始め、姿は刻々と変化する。だがそれはいつも東(濃尾平野側)から眺めている優美な姿ではない。巨大な岩の塊が転がっているようなゴツゴツとした威嚇的ともいえる直線的フォルム。
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芭蕉も愛した東から眺める伊吹山に月の趣などはいらない。
「そのままよ」と讃歎された麗しい姿を懐かしく思い描いていると、あっという間に車窓にはただ近江の冬景色が広がるだけだった。
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    [濃尾平野からみる冬の伊吹山 2022年1月下旬]


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