北砂の石田波郷
石田波郷の句から幾つか。
砂町も古りぬ冬日に温められ
雪敷ける町より高し小名木川
はこべらや焦土のいろの雀ども
小名木川駅春の上潮曇るなり
この1月下旬、コロナ禍を挟んで上京。いったい何年ぶり?
市ヶ谷の防衛研究所や国会図書館、東京大空襲・戦災資料センターに行った。
防衛研究所の史料閲覧室では、父がシンガポールで最後の日々を過ごしたニースン日本人病院関連の史料を見た。もちろんネット上でも「アジ歴」のサイトから見ることはできるけれど、父の名前が記された史料だけは、直接この目で確認したかったからだ。翌日は定宿からすぐの国会図書館。父も建設に関わった「リババレー劇場」に関わる雑誌(『タピオカ』)全てに目を通すことができた。
定宿からの風景:朝の国会議事堂、手前に国会図書館、最高裁
最終日は江東区北砂の戦災資料センターに所用があって訪問。定宿からすぐの半蔵門駅から住吉駅まで。
その帰りに進開橋袂の句碑が目に入り、そうだ波郷だと思い、踵を返して砂町文化センターまで足を伸ばすことになった。その2階に「石田波郷記念館」がある。
展示室は小さいけれども遺品などもあり、彼の業績を短時間で辿ることができたし、1階には図書館があって、波郷の句集などをしばらく眺めていた。彼の年譜を見ていたら現在の松山市生まれとある。去年暮れに香川や愛媛松山(子規記念館)にも行っていたので、そうだったのかとあらためて気づいたりした。
帰りに北砂、小名木川周辺を「冬日に温められ」ながら少しブラブラしたが、カメラを手に江東区内を散歩していた波郷の姿を思い浮かべ、家に帰ったら『江東歳時記』などをもういちど手にしてみようと思ったのである。
波郷文学碑(江東区北砂緑道公園:小名木川駅跡)20250123
記念碑(進開橋南詰)20250123